韓国での犬食習慣は古代からありましたが、高麗時代(900年代 )に中国北部から朝鮮半島へ移住してきた契丹(キタン)難民に端を発すると言われています。これらの人々は、当時社会で最も低い階級である白丁(ペッチョン)として朝鮮王朝では位置づけられていました。伝統的に犬食者は主にこのクラスの子孫であると言われており、高齢者、貧困層、地方在住者である傾向があります。
韓国の犬肉産業も他の犬肉産業合法国と同様、1番の問題はその残虐性であり、食用の犬を繁殖させては生まれた瞬間から屠殺寸前まで汚い不衛生な檻の中で仲間とぎゅうぎゅうに暮らさせ、一歩も外に出すことはなく、雨、大雪、猛暑を凌ぐものはなにも与えず、餌は農場主がタダで入手した腐った人間の残飯です。犬たちに水は与えられません。病気になったりすぐに死んだりしないように、牛の400倍を超える抗生物質やホルモン剤、ステロイド剤が屠殺の当日まで獣医資格を持たない農場主の手で投与されます。屠殺法も残酷で、仲間の犬たちが見ている前で、首吊り生きたまま焼き殺したり、感電棒を当て殺したりしています。
韓国は、犬肉産業合法国の中で唯一犬肉労働者たちの労働組合(肉犬協会)が公式に認められており、食用犬繁殖農場(犬肉農場)経営が公式に認められている珍しい国です。また犬肉産業合法国の中では唯一の民主主義国家であり先進国です。
しかし韓国の犬肉産業は完全に合法というわけではなく、一部の法律では合法、別の法律では違法、といった様にここ40数年間、完全違法でも完全合法でもないグレーゾーンをずっと彷徨い続けています。韓国政府は犬肉業者からも動物保護団体からもずっと抗議を受け続けながらこの問題をずっと放置してきました。
しかし2021年9月、文元大統領が「そろそろ韓国犬肉を廃止にすべき時期に来たのでは」と公に発言し、同年12月に韓国犬肉完全終決を目的とした「犬肉問題議論委員会」が発足されました。当初この委員会の活動期限は6か月に定められていましたが、委員会メンバーである動物団体 対 犬肉産業者との激しい対立に折り合いがつかず、結局結論を出せずじまいで2022年6月末に「無期限延長」となりました。
📍犬肉問題議論委員会
そんな中、2021年12月頃から日本での全国的な活動が活発に始まり、反DCMTJapanとイギリスの団体「Dogs and Cats off the Menu」の共同主催で「韓国領事館・大使館前世界一斉グローバルデモ」が開催されました。コロナ禍にも関わらず、岩手、東京、名古屋、大阪、神戸、広島、福岡、そしてロンドン、ワシントンDC、ロサンゼルス、フィンランド、ポーランドなど他国での活動が一斉におこなわれ、大勢の世界中の人たちの熱い巨大な声が一斉にあがりました。その後、引き続き日本でも各地での韓国公館前アクションが定期的に行われ、韓国当局へのハガキアクションなども大勢の方々が参加されています。参加ご希望の方は、反DCMTJapanまでご連絡ください。各地の主催者様にお繋ぎいたします。またこのブログの「あなたが出来ること」もご参照ください。
1.韓国での犬肉の消費量
韓国では、現在、圧倒的多数の犬食者は高齢者であり、高齢者の減少により過去 30 年の間で韓国犬食は著しい減少を示しています。2017年頃までは年間250万~300万頭の犬たちが人間に食べられるために殺されていると言われていましたが、2022年3月に韓国政府が史上初めておこなった調査では年間38万8千頭とされています。
2.誰が犬肉を食べるの?
2022年の朝鮮日報の記事によると、現在犬肉頻繁に食しているのは主に外国人(他の犬肉産業国からの)や高齢者 (70 歳以上) である事実が判明しています。
2017年から2019年にかけて急激な犬肉売り上げの減少により、韓国全土の主要な犬肉市場はすべて閉鎖されました。
2018 年 11 月 21 日、城南市太平洞にある韓国国内最大の犬屠殺場が閉鎖しました。城南市議会では既に2013 年にこの屠殺場を閉鎖することを決定していました。
韓国では2018年の時点で人口の僅か約3.9%が犬食をおこなっていることが判明しています。
韓国の大多数の仏教徒は、いかなる動物の肉や乳製品など動物由来製品を食べることを道徳に反すと見なしていますが、キリスト教徒の韓国人は、他の宗教よりも頻繁に犬肉を消費する傾向があります。犬肉労働組合の幹部はキリスト教の牧師です。
3.どんな犬が食べられているの?
一般的に食肉用に飼育される主な犬種は、ヌロンギ (누렁이) またはファング (황구) と呼ばれる薄い茶毛の中型犬でしたが、コリアンオブサーバー誌によれば、現在、韓国で肉用に屠殺されている犬種は、ラブラドール・ゴールデンレトリバー、コッカースパニエル、シベリアンハスキー、プードル、ブルドッグ、ビーグルなど、さまざまなペット犬種です。また、肉用に屠殺される犬には元ペットも多く含まれていると報告されています。
4.どのようにして犬食は始まったの?
韓国の歴史上犬食が食生活の中心になったことはありません。
韓国犬食の歴史は古代にさかのぼることができます。犬の骨が慶尚南道昌寧にある新石器時代の集落で発掘されました。ユネスコの世界遺産に登録されている北朝鮮の黄海南道にある高句麗古墳群の壁画には、屠殺された犬が描かれています。
新羅王朝から高麗王朝の間、韓国では仏教が国教でしたが、牛は人間の仲間とされており、一般に動物の命は神聖なものと見なされていた為、当時の韓国では肉を食べることは最小限に抑えられていました。のちに禁止となりました。しかし魚介類を食べることは依然として許されていました。
犬肉を一般的に食べる習慣は、高麗王朝の後半に遊牧民のキタン人やおそらく他の民族グループ (満州出身) によって導入されたと言われています。彼らは、モンゴルの侵略中に避難民として高麗に来たわけですが、侵略したモンゴル人は統治中に牛肉禁止を解除し、肉の消費を合法化しました。朝鮮王朝 (1392–1910 CE) 時代、少数のキタイ人は、社会の最下層の身分で肉業界に携わっていた「ペクチョン(白丁)」として社会に位置づけられました。朝鮮政府は白丁に野良犬問題の処置を命じ、その結果、犬の肉は貧しい人々(および下層階級)の食料品となりました。しかし朝鮮王朝時代、一部の政府高官は「犬は人間の仲間である」と主張し、犬肉消費の禁止を提唱し続けました。
5.韓国犬肉って合法? 違法?
1975年から1978年までの3年間は、韓国では犬は家畜としての完全なる法的地位を有していました。しかし当時、韓国犬肉産業の合法性に対して、国内外の動物愛護者たちは激しく反発し、1978年に農林畜産食品部は、家畜衛生管理法で犬を家畜から除外しました。しかし食用犬繁殖農場(犬肉農場)に関連する「畜産法」では、2022年の今でも依然、犬は家畜に分類されています。
韓国は、1991 年 5 月に最初の動物保護法が採択されました。
動物愛護法第 7 条を見ると現在韓国では、食用の犬の屠殺を明確に禁止していませんが、「残忍な方法で動物を殺すことは禁止」としています。さらに、「路上や同種の他の動物の前などの開けた場所で犬を殺すこと」も禁じられています。現在のほぼすべての犬肉産業がこれに違反しています。
2001年には、キム・ホンジン議員を筆頭に国会議員20名が、「犬肉合法化案」を国会に提出しました。議員らは、犬の屠殺と犬肉流通を合法化しようとしましたが、可決しませんでした。
2020 年 12 月 30 日、民主党のハン・ジョンエ下院議員が率いる10 名の国会議員が、「食用・食用販売目的の犬猫屠殺禁止法案:動物保護法一部改正案(法案番号7035)」を提出しました。今でもその法案は国会に係留されています。
2023年に入り、急ピッチで犬肉廃止の方向へ進み出しました。
2023年:
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4/11 キムゴンヒ夫人:大統領任期内に犬肉問題の終決を公言
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4/14 与党が犬肉廃止を含んだ動物福祉法改正案を提出
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4/23 肉犬協会:ゴンヒ夫人の発言に対し告発。「大統領でもない立場が公務員詐称行為」。だが後に裁判所から却下。
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4/25 ゴンヒ夫人:アンジェリーナジョリー氏に動物福祉向上の協力を依頼
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4/27 動物保護法一部改正施行:曖昧だった「犬屠殺は違法」が確実に。
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5/31 ソウル市:犬猫肉禁止関連条約案が市議会で発議。
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6/24 ソウル市:犬肉業者らの反発から条例案は保留。
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6/28 野党ハン·ジョンエ議員は11人の議員と共に犬肉廃止の「特別法案」を発議。
6.歴史上初! 2022年3月におこなわれた韓国政府による犬肉調査:
🔶犬肉農場と犬肉店に関する韓国政府による「犬肉産業実態調査」結果:
<2021年末から2ヶ月間にわたり催行>
🔴農場で、食用目的で飼育される犬数は 計52万1121匹
🔴韓国国内に在る犬肉農場数は 計1,156ヵ所
🔴犬肉農家1か所当たりの平均飼育数は 約450頭
🔴犬肉を売る飲食店は 計1,666ヵ所
🔴農場から屠畜場に移され消費される犬は 年間約38万8,000匹
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🔶韓国成人1514人対象の韓国政府による犬肉認識世論調査結果:
<2022年3月22~24日の2日間にわたり催行>
🔴55.8%は「韓国社会は犬食用を止めなければならない」
🔴28.4%は「犬食用は継続されるべき」
🔴52.7%は「犬屠殺合法化に反対」
🔴39.2%は「犬屠殺合法化に賛成」
🔴85.5%は「現在犬肉を食べない」
🔴80.7%は「今後犬肉を食べる意向はない」
※調査機関:韓国ギャラップ
7.韓国最大犬肉市場問題:
韓国最大の犬肉市場と呼ばれていたモラン市場(城南市)は、長年にわたる犬肉売上の減少を受け、2018 年に当時の市長(李 在明)と犬肉労働組合の間で正式に犬肉撤去の協定が結ばれました。しかしながら2021年や2022年には一部違法な犬肉営業が確認されています。
8.ボクナル:
ボクナル(ポンナル)は、中国ユーリン市で毎年おこなわれているような犬肉祭ではなく、旧暦による年3度の夏の最も暑い日を中心に「タンパク質を食べて暑い夏を乗り切ろう」という期間のことです。伝統的にサンボク (三伏) と呼ばれ、韓国人は通常、サムゲタン (高麗人参入りチキンスープ) またはチョゲタン (冷たいチキンスープ) をボクナル(ポンナル)期間によく食べます。一部の韓国人はそれらの代わりに、牛肉、魚介類、フルーツ、かき氷、そしてポシンタンという犬肉スープを食べます。
9.世界中からの反対の声:
世界愛犬連盟(World Dog Alliance) は、2012 年に、英国政府に対し、国際的に残酷な韓国犬肉産業に反対の声をあげるよう求めるオンライン請願書を提出しました。 2015 年、この問題は下院本会議場で議論されました。 2016 年 9 月 12 日、請願委員会により英国議会での韓国の犬肉取引に関する 2 回目の討論が開催されました。 Change.org の電子署名では、2018 年韓国冬季オリンピックをボイコットする嘆願書に45万書を超える署名が集まりました。 2018 年、動物保護組織HIS Korea、KARA、そして請願サイト Care2 は、ソウルの大統領官邸宛てに集めた100 万人の署名を手渡し、大統領に犬肉農場閉鎖の開始を促す書簡を添えました。
日本からも2021年に1万書を超える韓国政府宛ての直筆署名が団体CAREを通じて政府関連当局へ提出されました。今は返却され、2023年7月現在、CAREが次の機会を得ながら大切に保管されています。
ソース:
News Korean Daily: Aug 8th , 2022
Yonhap News: Aug 8th, 2022
Chosun.dom: Aug 9th, 2022
Soulwire: Aug 9th, 2022
CARE, HSI, KoreanDogsOrg, 中央日報